暗黒界 (ネザー) のかわいいフェリー役
ネザーには、Minecraft の中でも極めて恐ろしいモンスターたちが生息しています。ピグリン、ブレイズ、ガスト、そして著者のいとこのボブ…。彼は私と一緒に冒険へ出たにもかかわらず、一人で見つけた古代の残骸を私に分けてくれないんですよ！つまり、ボブは悪の化身なのでネザーでも楽しく暮らしていけるんだと思います。ネザーは敵対モブの巣窟で、彼らは機会さえあれば躊躇なくプレイヤーを襲ってきます。しかし、すべてがそうとは限りません。あなたや私だけでなく、ボブの執着さえも意に介さない、とってもかわいらしい生き物がいるんです。のっぺりとした顔の偶然の産物、ストライダーです。
「ストライダーはネザーで唯一、攻撃的でないモブという意味でとてもユニークです」と語るのは、ゲームプレイチームの開発者 Brandon Pearce です。彼はストライダーの開発に深く関わった人物です。「一部のプレイヤーはストライダーに恐怖を抱いていました。顔も何となく不気味ですし、ネザーにいるモブですから当然です。でも、みんなすぐ気づくんです。“あれ、このモブは攻撃してこない！”とね」。
ちょっと待ってください、「不気味」ですって？そんなことないです！ストライダーは魅力にあふれています。不機嫌そうに見える微笑ましい顔、白い長い毛、そしてエレガントな二本の脚に支えられた完璧なブロック形の体…。愛さずにはいられません！
確かにストライダーは柔和そうに見えます。ですが騙されてはいけません。ストライダーは火に強いという特性を持っていて、ネザーの中ではもっともタフなモブとも言えます。多くのモブが溶岩に落ちて散っていく一方、ストライダーにその心配はありません。Brandon によると、そうしたのは単に自慢できるからではなく、実用的な理由があるのだそう。
「ネザー内部、特にマグマ溜まりを横断する手段が欲しかったんです。マグマ溜まりを渡るのは困難であることは前から知られていて、プレイヤーはたいてい橋などを自分で作って渡っていました。でもそれだけでは退屈ですよね」。
豆知識その 17：ストライダーが糸をドロップするのは、その美しい髪の毛と糸が似ているからです。また、Brandon はこう説明します。「プレイヤーに、ピグリンはどうやってクロスボウを作っているのか聞かれたことがあります。弓の糸はどこから入手したのか、と。これでお分かりですね。糸はストライダーから取っています！」
ストライダーは、ネザーにおけるフェリーの役割を果たしています。巨大な溶岩を渡る時、プレイヤーはオーバーワールドで豚に乗る時と同じような手法でストライダーに乗ることができます。個人的には 3 時間かけて橋を作ったり、1000 度の溶岩の中へ間違えて落下したりするのもたまになら構わないのですが、確かにストライダーに乗って溶岩を渡れるのは便利ですよね。その際、必要なのは鞍と歪んだキノコ付きの棒です。これでストライダーを操縦できます！
ストライダーに乗ると、何とも言えない恐怖心を味わえます。溶岩に落ちて所持品をなくしてしまうかもしれないという恐怖もそうですし、ストライダーの動きがまたスリリングなんです。ストライダーが歩くとカクカク揺れる頭は、まるであかべこのごとし。親が運転する車に乗ったときの私の頭と同じ動きです。それがまた非常にチャーミングなのですが、Brandon によると、これは意図的ではなかったのだとか。
「Java 版 Minecraft のアニメーションは、外部ツールを利用せずに関数で一定の動きを表現しています。ある時、私が関数をいじって遊んでいたら、ストライダーが現状の左右に揺れる動きをしたんです。それがストライダーの… 何と言うかユニークな外見と相まって、すごく奇妙で面白くて、一気にかわいらしさが増しました」。
ストライダーをどこに駐車したらいいかは悩みの種でしょう。それはネザーが大渋滞しているからだとか、砦の遺跡の駐車場に空きがないからとか、そういった意味ではありません。一重にストライダーと溶岩の関係性によるものです。ストライダーは溶岩から出て地上を歩くと、すぐに震え出して青ざめてしまいます。
ずっと燃えたぎる溶岩の中で過ごしているモブが、地上に出たら震え出すなんて！でも心配ご無用！今年のクリスマスプレゼントに、私が暖かい手編みのセーターを編んであげましょう！Brandon には当初、ストライダーを震えさせる気はありませんでした。でも彼の案を聞くと、現状でよかったのかもしれません。
「最初のバージョンの一つは、地上に出たストライダーは脚を引っ込めてぴょんぴょん飛び跳ね、最終的に死んでしまうという悲しいものでした」。と Brandon は認めます。「今では、プレイヤーのみなさんは溶岩のプールを作ってあげて、ストライダーの体を温めていてくれます。ストライダーの構造的に別に温めないといけないわけではないのですが、プレイヤーがゲームに没入しているあまり、ストライダーを思いやってそうしてくれているんでしょうね。設計の観点から言えば、非常に面白い現象です。今後の開発においても、こうした流れが続けばいいなと思っています」。
地上では体を震わせ、マグマ溜まりではプレイヤーを運んでくれるストライダー。私たちが利用するにはもったいないほど純粋な生物ですね。ネザー アップデートの裏側をもっと知りたい方、もしくは開発時の知られざる話に興味がある方は、最新の開発日記動画シリーズをご覧ください。では、私は身近なモンスター、ボブの隠れチェストから古代の残骸を失敬してきます！
この記事を共有する